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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第7章 運命の番(過去編)2


後に景光さんとまた数年後に出会うこととなるーー…中学生の頃、また別のお兄さんに出会った。この頃には大分αのフェロモンをコントロール出来るようになり、絡まれた所でフェロモンを溢れさせて逆に撃退している。襲われることも多いからということもあり、護身術などのことも始めて随分強くなった。そんな明くる日の朝の出来事だ…いつも通り送迎車で学校へ向かう時、まだ人がいない公園になんとなくふと目に付いた鮮やかな金色。その金色がうずくまっていたのだ。ただ事じゃない雰囲気に私は運転手に止まるよう伝えるとドアを開けて公園まで走った。その時香る甘い匂いにグラリと視界が眩む、この人…まさかΩでヒートなんじゃ。そう直ぐに気づいた。もう少ししたら沢山のαは勿論、βさえも集まりそうな甘い匂いに私がなんとかしないとと水筒に入っている水と最近呑み始めた発情抑制剤を手に取り優しく声をかける。

「お兄ちゃん…大丈夫、ですか?」
「ひっ、く…来るなっ!お、俺に触るなっっ!」

パンッと手を振り払われる。生まれて初めて拒否されたことが驚きであり、αに触れられて怖くなるのは当たり前だと直感する。しかし放置しておくわけにもいかないので、水筒と発情抑制剤を差し出した。驚いてこちらを振り返りお兄ちゃんの澄んだ水色が私を捕らえた。ぶわりとまた甘い香りが私の身体を包む、するとポロポロと泣き出してしまった。

「ちがぅ…俺、おれが…Ωだなんて…そんなの、おかしぃ…」
「お兄ちゃん…」

初めてのヒートなのだろう。後天性のΩとかだろうか…私のことをドロドロとした欲のある瞳で抱き締めて来たお兄ちゃんにクラクラする。私自身も毎日欠かさず発情抑制剤を呑んでいるから、なんとか理性が勝っていた…手に持つ発情抑制剤と水筒を手渡す。安心させように口を開く。

「大丈夫、大丈夫ですよ…お兄ちゃん。先ずは落ち着いて薬を呑みましょうか。今からΩの運転手を乗せた自動車を寄越します、だから今だけの辛抱です…落ち着くまで私が貴方の傍にいます」

大丈夫、大丈夫。そう何度も伝えて微笑み強く頷いた。震える手で薬を放り込み水筒の水を口へと流し込む。ぎゅうぎゅう私の背中に抱き着いて離れないため背中を擦りながら、今いる優秀なαの運転手にΩの運転手に変えるように命じた。流石に運転手もしんどいようで落ち着かせるように何度も深呼吸を繰り返す。そして家へと連絡した。
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