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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第2章 中編 古代都市シャンドラ



「はぁ、仕方ねぇな」

ユーリが攻撃を仕掛けようとした時、聞こえてきた言葉。

そして悲鳴。

視線を向ければ、そこにはシャンクスがいた。

そのまま足元に目を向ければ、大量の死体。

ーーー何が起きた?この私が見逃したのか?

恐らくシャンクスが殺ったのだろうが、その瞬間を見ていない。

ユーリは呆然とシャンクスを見ていると、彼が再び動き出した。

人間にしては、ありえないその動き。

そして美しい程の剣捌き。

瞬きをしている間に、幾つもの死体が地に倒れていた。

「おいっ…その力は…!」

ローがシャンクスの異変に気づいたのか、少し焦ったように声を掛ける。

しかし彼は結局、最後の1人を倒すまで止まらなかった。

「……貴様…その…力は…」

先ほどまでシャンクスと剣を交えていた男は、血を吐き地面に片膝をついていた。

少し前までは有利に戦っていたのに、全くの別人であるかのように、勝敗がついた。

男は忌々しそうにシャンクスを睨みつける。

「さぁ、なんだろうな。おれもよく分からん」

シャンクスは剣を地面に突き立てると、荒く息を吐き出した。

胸を抑えている手が、僅かに震えてるのが見える。

額から流れ落ちる汗の量が普通ではない。

理解ができない状況に、ユーリはただ見守ることしかできなかった。




「なぁ…あれがそうなのか?」

「……あァ」

「ロジャー前国王の時一度見たが、相変わらずすげぇな」

エースの問いかけに、ローは眉をひそめたまま答えた。










シャンドラの王族の血筋は、ごく稀にある病を持つ。

突然変異かは分からないが、先祖代々その病を受け継いできた。







「何故力を使った。死にてェのか?」

ローはシャンクスに近づくと、周りに聞こえないよう声を掛ける。

彼の手には薬が持たれており、それをシャンクスに渡していた。






ロジャー・シャンクス・ルフィ。


3人共、同じ病を持っていた。

そしてその症状、力を使い続ければどうなるか知ってるのはローだけである。


「何時もすまねぇな。だが、今回は仕方ねぇだろ?」

「…そうだが…このままいけば…」








近い将来死ぬぞ。





小声で会話されているその言葉。



ユーリだけが、それを聞き取ることができた。


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