第2章 中編 古代都市シャンドラ
ユーリがシャンクスと別れて暫くウロウロしていると、ルフィとローを見つけた。
何やら二人は言い争っているようだが、構わずユーリはルフィの肩に止まる。
「…あれ?ユーリどうしたんだ?」
ルフィは首を回してユーリを見る。
そんな彼の言葉にユーリは一言鳴き声をあげただけだった。
「…あっ!もしかして俺を助けに来てくれたのか!?」
「なわけねェだろうが。いいから大人しくしてろよ」
そう言っているローの手には注射が持たれていた。
どうやらルフィは注射を嫌がってローと口論していたようだ。
「俺は風邪なんて引かねぇから、そんなの必要ねぇだろ!?」
「…はぁ、毎回このやり取りをする気か?これは予防の為じゃないと何回言ったら分かる?」
ローから掴まれている腕を外そうともがくルフィ。
更に話を聞いてみると、どうやらルフィはロジャーと同じ病を患っているようだ。
ただ、発見が早いおかげか治療すれば治る可能性がある。
だからローがその治療を任されてるのだ。
「おまえ、何でそんなに嫌がるんだよ。毎回毎回いい加減にしろよ」
ローはため息を吐くと、掴んでいる腕を離した。
「うっ、だって…それ刺されたら一日力が出ねぇんだよ。今日はパン屋のおっちゃんの手伝いをする約束だったのに…」
腕を離され逃げようとしたルフィだが、ローから睨まれてその場に留まる。
二人の間に重い沈黙が流れた。
「…おまえが言いてェことも分かる。だがな、それで死んだらどうすんだよ?パン屋の手伝いは誰でも出来るが、シャンドラの家臣はお前しかできねェんだぞ」
ゆっくりと、論するように話す彼。
ローが言わんとすることを理解したユーリは、静かに二人のやりとりを見ていた。
「だいたいパン屋って何だよ。おれに対する嫌がらせか?」
「うるせぇ!俺はパンが好きなんだ!てかそれとこれは関係ねぇだろ!?」
ユーリが少し関心を持って見ていると、話が微妙にズレ始めた。
ーーー……ローさん、私情が入ってるようですが何かパンに恨みでも?
ユーリはルフィと一緒に、何か言いたげな視線をローに送った。