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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女



「あんたはこの状況に心当たりはないのか?」

ベンはユーリに近づくが、鎖を外すことはしなかった。
いくら彼でも、シャンクスの逆鱗に触れると分かっていてそんな自殺行為はしたくない。

そもそもここにいる時点で色々問題なのだが、シャンクスが不在の今、この事態を解決できるならしたかった。

「いや、それは私が聞きたいのですが」

ユーリなら、何かしら事情を知っているかと思ったが、生憎返って来た答えは期待できないものだった。

二人の間に重い沈黙が流れる。

ユーリはベンが鎖を外してくれる気配がないと分かると、盛大にため息を吐いた。

流石赤髪海賊団。キャプテンの意思に背く真似はしないか。

「そもそも、私は彼の腕を治しに来たんですよ。その為に強くなって、悪魔の実も食べたのに」

「…で、何故か分からないがそれを拒否されたと」

「そうなんですよ。一体どういうことですか?片腕生活が長すぎて、今更はやされても困るんですか」

「…さァ」

そんなわけないとは分かっているが、思い当たる理由がない。

彼が、腕を失ったことに対して怒りを感じていないことは、昔から知っていた。

しかしだからと言って、治して欲しくない理由が分からない。

「仮にも四皇の腕を奪ったままなんて、私には荷が重すぎるんですが。どうにかしてくださいよ」

ユーリは己の手に付けられた海楼石を見ながら、そう呟く。










……まさか





ユーリが放った何気ないその一言に、ベンは1つだけ嫌な予感がした。

もし彼が今過った考えが正しいなら、正直笑えない。














「…お前がおれの命令に背くとは、珍しいな」


そして背後から聞こえてきた言葉。

ゾクリとするような殺気と共に、ベンは嫌な汗が流れるのを感じた。

「…別に命令違反なんてしてないぞ。現に彼女の鎖はこのままだろ」

「おれは、この部屋に近づくなと、言ったよな?」

ベンの言葉を遮るように、一言一言区切って言われたその言葉。


…あぁ、やっぱり来るんじゃなかった

収拾がつかなくなったこの事態に、ベンはそっとため息を吐いたのだった。

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