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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女



ユーリがまだ生死の間を彷徨っている時、シャンクスは頻繁に彼女の元を訪れていていた。

何時までも目を覚ます気配のないユーリ。
まさかこんなに長く眠り続けるとは思わなかった。

医者の話だと命に別状はないとのことだが、次第にシャンクスは焦りを感じ始めていた。


そしてそんな彼女に痺れを切らそうとしていた時、彼の出航が決まった。
だからシャンクスは、眠り続けている彼女をそのまま連れて行こうとしていた。

シャンクスのその提案を、最早反対するクルーはいない。
シャンクスの船には船医もいるのだ。誰も、反対する理由なんてなかった。

シャンクスが向かうのはユーリが眠るマキノさんの家。
本当はユーリの同意を得るべきなのだろうが、彼もそこまで気の長い男ではない。

幾ら器が大きいと言われている彼でも、根は海賊なのだ。
一度欲しいと思ったらそれが何であれ手に入れる。

ユーリの心は、この腕のおかげで繋ぎ止めれるだろう。
後は身体だけだ。

子供相手にこの執着心。

仲間が知ったらさぞやドン引きされるだろう。

正直、自分でも驚いているくらいだ。

女なんて捨てても寄ってくる彼だ。そんな彼が、たった1人のしかもまだ幼い彼女に、心を奪われている。

一体何がきっかけだったかは分からない。

何時の日か聞いた、人を好きになるのに理由なんてない。
もしかしたらそれなのだろうか。

いい年した男が、まさかそれを体験することになるとは。

シャンクスは苦笑と共に口の端を吊り上げると、店を訪れた。

「あ、船長さん、どうしたんですか?」

確か今日出航する予定でしたよね?ルフィが寂しがっていましたよ。

シャンクスを見るや否や、そう話しかけてくるマキノ。

シャンクスは幾つか雑談を適当に交わすと、目的のユーリの部屋へと向かおうとした。


「あれ、聞いてなかったんですか?ユーリちゃん、今朝目を覚ましたようで…」


マキノの言葉に、思わずシャンクスは足を止める。

そして彼女から聞かされた信じられない言葉。

シャンクスの表情は、次第に驚愕のものへと変わっていった。

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