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雛鳥トリッパー! 【ONE PIECE】

第6章 【ご 雛鳥、白の人達と出会う】



エースさんが横で慌てている感じがする。
でも、ごめんなさい。私から逸らす訳にはいかないんです。

野生の本能、とでもいうべきかな。
お父様に教わった知識が、本能が。先に逸らしてはいけないと警鐘を鳴らす。弱った所を見せれば、たちまちこの猛禽類に貪られてしまうだろう。

どれくらい、見つめ合ったことだろう。
この均衡を先に崩したのは、相手の方だった。

「へぇ…………」

ニヤリ、と片方の口角だけを器用に上げる。
眇られた瞳に悪寒が走ったのは気のせいだと思いたい。
……面倒な人に目をつけられたかも。

「名前は」
「……ヒナ」
「そうかい、ヒナ。マルコだよい。うちの末っ子が世話になったよい」

じりじり間合いを詰められてる気がする。というか詰められてる。
1歩後ず去ろうとした時、エースさんの不貞腐れた声が投げ込まれた。

「なぁなぁマルコ、もういいだろ~? 早くモビーに帰ろうぜ~」

そばかすが残る顔をを膨らませて、いかにも自分は拗ねてるんだぞ!と言わんばかり。
男性――マルコは、呆れた様子で頭を押さえた。

「ヤローが膨れるなよい……そもそもさっさと報告しなかったお前が悪ぃ」
「え、だって言われてねぇし!」
「いつも耳にタコができるくらい言ってるよい!! このアホが!!」

兄弟喧嘩なら、家でやってくれません?
ここ、私の舟なんだけど。

そんなこと、口が裂けても言える訳がなく。
鎮火するまでしばらくの間、待つ他私に選択肢は残されていなかった。
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