たとえ貴方がいなくても、明けない夜はない 【進撃の巨人】
第6章 行きはよいよい、帰りはこわい【リヴァイ】裏
「「んぐっ!?」」
「シッ!見ろよ、あれ」
ジャンとコニーに誘われて、気晴らしに少し離れた川沿いまで行くことになった。
ここへ来るのは何度目かわからないけど、松明ひとつで来るには心許ない道のりも今日みたいな月明かりに照らされればけっこう気持ちがいいものだ。
別に野郎三人で何をするわけでもないけど、やいのやいのと歩いてるうちにこういうのもたまにはいいかななんて思っていた時だ。
川に程近い所で突然コニーに襟元を後ろに引かれた。服が伸びるだろと文句を言いたいとこだったが、コニーが指した先を見ればそんな事はもうどうでもよくなった。
「馬?人がいるのか?」
「こんな人里離れたとこにいるわけねぇだろ」
「行ってみよう」
木に繋がれた馬はどこかで見たことがあったような気がしたけれどイマイチ思い出せない。
忍び足で土手を覗くと、三人して咄嗟に屈みこんだ。
その土手の下の方に小さな背中がひとつ。しかし、そこに横たわるように見える体がもうひとつ。
目を凝らすと見たことある長い髪と、もう一人の腕には腕章。
(ダリアさんと…リヴァイ兵長!?)
「ふふっ、あれはあなたも悪いじゃないの」
「俺は悪くねぇ」
「まったく、リヴァイはわがままなんだから」
川の音にかき消されそうでもこの静けさならよく聞こえる二人の声。間違いない。リヴァイ兵長とダリアさんだ。
「噂は本当だったんだな…」
「噂?」
「お前知らねぇの?あの二人ができてるって噂だよ」
「そうだったのか…」
「静かにしろよ、バレるだろ」
仲がいいなとは思っていたけど、まさかそういう関係だったとは。
ダリアさんはリヴァイ兵長に膝枕をしていて、一方リヴァイ兵長は膝を貸してもらいながらも腕を組んで相変わらずの態度だ。
普段の二人からは想像できない姿に、なんだか無償にドキドキしてきた気がする。