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黒の組織のお嬢様

第5章 悲劇のダンスパーティ


アンノックはここ1週間ほど、全く睡眠を取らなかった。
アンノックは1週間に3、4時間ほどで睡眠を取るだけで平気な身体だ。
しかし寝ようと思っていた日にキュラソーにハッキング技術を教えたために睡眠を取れなかった。
まだ夜が明けたばかり。時間でいえば5時あたりだろうか。
まだ睡眠を取るには時間があったためアンノックは睡眠を取ることにした。


アンノックが起きたのはそれから約5時間後。扉のノック音で飛び起きた。
どうやら寝坊したらしい。
身支度をしながら扉のロックを解除した。
そこでアンノックは気がついた。来た相手を誰か確認していないことに。
しかし心配はいらなかったようだ。
扉の外にいたのはバーボンであった。
バーボンは本を抱えて資料庫に入ってきた。
「朝からすみません。この本の続きどうも気になってしまって…ってすいません。寝起きでしたか?」
いつだか貸した数少ない小説を見せながらバーボンは入ってきたが、アンノックの様子を見て、そう尋ねてきた。
身支度をした、と言っても人前に出れる程度のもので、髪は結われておらず、いつもの黒いドレスではなく、私服のラフな黒いワンピースだった。
「あぁ、まぁね。本当はもっと早く起きてる予定だったんだけど…」
「出直しましょうか?」
「平気よ、10分くらい待っていてくれれば。そうね、それの続きなら確かここに…」
そう言ってアンノックは資料庫の一番下の棚を探し始めた。
「あ、あった!続きを借りそうだったからここに置いておいたの。これ読んで待っていてよ」
「え?いいんですか?」
「え?他にも用事があったから来たんじゃ…」
とアンノックは言ったが、途中で気がついた。
本を返して、その本の続きを借りに来ただけかもしれないことに。
前のようにねだりに来たわけでも、教えに来てもらいに来たわけでもないかもしれないことに。
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