第9章 私の一人旅
ザザァーン…
青くて綺麗な海が、優しく波の音を響かせる。
穏やかすぎて、不安も苦悩も、何もかも忘れてしまいそうになる。
でも。
ルナは違った。
『…紅覇、大丈夫かな…。』
海沿いを歩きながら、船乗り場に向かうルナ。
宮廷を出て、早くも2時間が経った。
紅玉に、出かけてくると知らせ…
覚えた宮廷内の道を歩き、門をくぐって出た。
その理由は…
「ルナちゃん、」
『ん?なぁに、おじさん』
「そろそろ準備、できそうだよ」
『ほんとっ?』
「ああ」
にこやかに、親指を突き立てるおじさん。
そして…
「でも、本当にいいの?ルナちゃん。
私たちなんかの船で」
『うん!乗せてってくれるだけで、嬉しいよ』
綺麗な、お姉さんとも言えるおばさん。
二人は、私の "目的地" まで乗せて行ってくれる、優しい30代前半の夫婦。
「えーっと、ルナちゃんの目的地って…
シンドリアでいいんだよな?」