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【HQ】脳内妄想‐シンデレラ・単発‐【R18】

第3章 祭りの夜に(黒尾鉄朗/単発)


見詰め合う事、数秒。
更に顔が近付いて、唇を何かが掠める。

これだけ近いのだから、どこかが偶然当たっただけだと思ったけど、黒尾さんは伺うように私を見ていて。
少し、期待を込めて目を閉じた。

ちょっと間を空けて、再び唇に何かが触れる。
今度は、しっかりと柔らかい感触が分かった。

キスをされている。

雰囲気に流されたとか、そんなやつ?
このまま、自分まで流されちゃ駄目だ。

目を開けて顔を引く。

「あ、あの…花火…。」
「上ばっか見てるの、辛くね?横になった方が見やすいだろ?」

誤魔化すように口にした言葉は墓穴を掘っていた。
抵抗する前に、シートの上に押し倒される。

笑う黒尾さんの肩越しに、小さく花火が見えた。

こんなロマンチックな状況なら、流されても良いかも知れない。
そう、思ったけど。

「言っとくが、イイ感じだからヤっちまおうとか、適当な気持ちじゃねぇから。」

私の心を読むように、低い声が降ってきた。

その言葉だけで、黒尾さんの気持ちが伝わってくる。

「…私も、流されてるだけじゃ、ないですよ。」

自分の気持ちも伝えたくて。
求めに応えたくて。

両腕を広げて、受け入れる意思を示した。
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