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おそ松さん〜地獄の沙汰もマツ次第〜(R18)

第1章 あの世であなたを脱がせたい【おそ松】


「私は桜です。では、服を脱いで頂けますか?」

事務的に言うと、おそ松と名乗った男性は「はぁっ!?」と声を上げた。

「ここで私は死者の服を奪わないといけないんです。でも、まだ慣れていなくてうまく奪えないので、ご自分で脱いで頂けたら助かるんですけど……」

「服を奪う……?」
おそ松さんはぽかんと口を開けた。


三途の川を渡りきったほとりには、鬼の奪衣婆さんがいて、死者たちの衣服を剥ぐことになっている。奪った服を木に掛けて、罪の重さを量るのだ。

私は奪衣婆さんの下についたばかりの新人。奪衣婆さんは、たまたま席を外していた。


「つまり、おねーさんが俺の服を剥ぐの!?」
おそ松さんは、目を丸くした。

「はい、ですから、さっき言ったように、ご自分で脱いで頂けたら助かるんです。申し訳ないのですが、まだうまくできないので」

途端におそ松さんは、ニヤ〜ッと頬を緩めた。

「やだねっ!」

「え?」

「おねーさんが脱がしてくれるんでしょ? 自分で脱ぐなんて、もったいない! 早く脱がせてよぉ! 慣れてなくても逆にそれがいい!」

「そんな……」

ヒヨッコの私は、まだひとりで死者を脱がせたことがない。私しかいない時に死者が来るなんて……。本当にツイてない。

「ほらほら、早くしてよぉ、新人ちゃん! 俺、いつまで経ってもエンマ様のところに行けないよ? 脱がせ方なら教えてあげるからさぁ!」

おそ松さんは、ニヤニヤしながら私を小突き出した。

「でも、奪衣婆さんみたいに乱暴に剥ぐなんて、まだできないんですけど……」


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