第1章 1
「こんばんはお嬢さん」
「……っ……」
月明かりの眩しい美しい夜。目的の宝石を手にすると後ろから声をかけられた。その声に振り向くと、そこには真っ白な衣装に身を包んだ男が立っている。怪盗キッドだ。
「いけませんね、人の獲物を横取りとは」
「……早い者勝ちでしょ?」
「困ったなぁ、あまり女性には乱暴にしたくないのですが」
言葉に似合わずニヤッと笑うとキッドは距離を詰めてくる。
「…………」
私も一歩一歩下がりながら戦う準備をしようと手を背に向けると膝裏になにか当たった。
「?……きゃっ」
一瞬気を取られた隙に肩を押されソファーに押し倒されてしまった。目を開けるとキッドの顔が目の前に来ている。
「どいて!」
「おやおや、暴れないでください」
「このっ……」
蹴り上げようと足を上げるとキッドは器用に避け、私の足の上に乗った、そして片手で私の両手を押さえ付ける。
「離して!」
それでも抵抗する私をキッドは完全に押さえ付けた。
「……くっ……」
「これで身動きは取れませんね」
キッドは不敵に笑うと私の太ももに手を這わせた。そして内ももをなで上げる。
「やっ………………ぁ…………」
「おやおや、随分敏感ですね?」
「あっ…………やめ…………」
私の声を無視し、首筋を舐めると私の目を見た。その目はまるで獲物を捕らえた肉食獣のようだ。
あ…………力が…………
力が完全に抜け、ソファーにもたれかかる状態になってもキッドは私の体を弄び続けた。唇が耳、首、胸へと降りていきそ、の度に体が跳ね上がる。
「や……ぁ……」
体が限界に達しようとしたとき目の前にあった温もりがなくなった。
「…………っ…………」
「こちらは私がいただきます」
キッドを見上げるとその手には私が盗んだはずの宝石が握られていた。私はうまく力が入らない体で宝石に手を伸ばす。
「おや、まだ立てないくらいに余韻が残ってますか?」
「誰が……!」
「では、私はこれで」
ポンッという音とともにキッドの姿はなくなった。私もすぐに逃げ警察に捕まることは無かっが……
「腹立つ!なにあの男!」
「おかえりなさいませお嬢様」
執事の声を無視し私は部屋に入るとすぐに眠りに着いた。