• テキストサイズ

就活失敗して使用人になりました!【スタマイ】

第6章 (4)Housemaid



「はぁ〜、すっきりした〜」

宮瀬さんに案内されたシャワールームで血を洗いながした私はふわふわのタオルで満足気に体を吹いていた。

「このタオルも高いんだろなぁ。ふわっふわなのに吸水力バツグン…幸せだ…」

そんなことを呟きながら、とりあえず下着をつけようとした。

「おーい入るぞー」

その時、タイミング悪く桐嶋さんの声が聞こえる。
そしてなんと私の許可もとらずに脱衣場のドアをそのままガラリと開けた。

「えっ、ちょ!?」

桐嶋さんと目と目が合う。
もちろん私は裸。
タオルは…ギリギリ胸元を隠してたかも怪しかった。

「きゃーッ!?」

「わっ、なんだよお前…ってなんで裸なんだよ!?」

「今着替えてるところだからです!!桐嶋さんの馬鹿!!えっち!!」

あまりの出来事に近くにあったタオルで桐嶋さんをバシバシしばき倒す。
とにかく早く出ていってほしかった。

「ちょ、分かった!悪かったってば!」

しかし桐嶋さんは私の思いとは裏腹に、謝りながらも何故かこちらに近寄ってきた。
そしてあろう事か、タオルを持った私の腕をがっしり掴んできたのだ。

「やーッ」

「落ち着けってば!」

裸の状態で素肌を掴まれてるだけで羞恥心が何万倍にも膨らむ。
先程と同じで桐嶋さんに下心はないのだろう。今ここにいるのもきっと私の様子を見に来たんだろう。
だとしても!!だとしてもこれは駄目でしょう!!

「…桐嶋、何をしているんだ」

その時、脱衣場の入口から更に知らない男性の声が聞こえた。
涙目になりながらそちらを見るとそこには桐嶋さんとはまた違う、落ち着いた金髪の男の人が立っていた。

「あ、九条さん」

「騒がしいと思ってきてみれば……。お嬢さん、大丈夫ですか?」

九条さんと呼ばれたその人は、そう言って自分の羽織っていたジャケットを私にかけてくれた。
驚きと、布が増えた安堵感でそのまま私の体はへにゃひへにゃと床に座り込んでしまう。

「す、すみません…ありがとうございます」

「この屋敷に何の用で来たか、何故ここにいるのか、聞きたいことは山ほどあるが……ひとまず落ち着きたまえ」

そう言うと九条さんは桐嶋さんを連れて脱衣場を後にする。
立ち去る時の桐嶋さんは私の方を見ながら、まるで叱られた犬のように眉を下げていた。


…その可愛さに免じて許してあげようと思ってしまった。

.
/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp