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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第33章 主よ甘き日々を終わりまで4(烏養繋心)


一緒に寝るようになって数週間経つがふと気付いた。
は自分から俺に触ってこないと……。
やっぱりヤニかコーヒーか…。
においが嫌なのか?
年も10近く離れてるとなると、ジジィ臭いのか…?
色々気を付けてみたが、それでも改善は見られなかった。
店の電話を取り適当にメモを取りながら相槌し、掃除しているに目をやる。
いつも通りだ。
特に嫌われている素振りはない。
付き合って、るんだよな…?
と自問自答し、ここ数日のやり取りを振り返る。
家に帰り、風呂に入り、一緒に飯を食い、親が寝ているのを確認してから朝まで抱いて寝る。

(これは……セフレでは……?)

もしかして、不安になってるのでは……??
女子特有のときめきが何一つない、ただの性処理と思われている可能性すらある。
やってしまった、と後悔した。
恐らくは人と付き合ったことがない。
リアクションや会話でなんとなくわかる。
それなのに、付き合って初日で身体の関係になってその後ずっと夜の営みだけ……。

(あまりに可哀想では…???)

少しずつ慣れて貰えたらと思っていたが、自分に余裕がなさすぎてそれすら出来ていなかった。
あまりにも可愛いが故につい最後までシてしまう……。
彼女の年に合わせて、年相応なデートをし、徐々に距離を詰め、やがてその身を寄せる…という関係をゆっくりじっくり構築しようと思っていた。
が、申し訳ないことにそれが出来なかった。
今更どう距離を詰めるか悩んでしまっている。
「お疲れ様です、お茶どうぞ」
にっこりと微笑まれ、缶の茶を手渡された。
「…おう」
可愛いが故に仕方がない。
と割り切っている場合ではない、なんとかしてこの状況を打破して向こうからも仲良く出来る雰囲気作りをしなくてはならない。
例えば普通の恋人同士は同棲していると何しているだろうか?
検索を掛けてみると、朝は弁当を作ってあげる、と書いてある。
(なんとかなるか……冷食もあるし……)
いってきます、おかえり、の時にキスする。
(これはめちゃくちゃそれっぽいぞ!)
指を鳴らし、閃いたかのように実践を決意した。
これなら無理なく距離を詰められ、尚且つなんだか付き合ってるっぽい気持ちになれるはずだ。
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