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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第31章 主よ甘き日々を終わりまで2(烏養繋心)


情には流されないと誓っていたはずなのに、一緒に生活していくうえで庇護欲以上の何かが芽生えてしまった。
せめて高校卒業してから、と耐えていたが、その日はあまりにも呆気なく訪れてしまった。
酒の勢いもあったかもしれない。
飲み終わりに帰宅すると、居間でうたた寝しているがいた。
長いまつ毛にサラサラの髪、あどけなさの残るそれでも年より少し大人っぽい顔立ち。
いい大人が何を考えてるのか、とどこか反省していたが、それを上回る何か。
がふと顔を上げ、こちらを見る。
「…はよ…」
「……おかえりなさい…」
ぼんやりとしながらこちらを見て微笑む。
可愛い、より上回る何か。
ぐらつく。
待つと決心していたはずなのに。
いつか出ていくかもしれないその娘を今ここで出口を塞いでしまってどうする。
拒否されてここに住まなくなったらどうする。
そんな考えすら流れていた。

「…、付き合ってもらっても、いいか…?」
何年前か以来の言葉、顔が熱くなる。
「……はい…」
静かに言われたその返事が無性に嬉しい。
ちゃんと段階を踏みたかったはずなのに、気づいたら口を塞いでいて冷たい床に押し倒していた。
「…ん、っ、は…」
少し困惑していたが嫌ではないようで、舌を入れても答えてくれる。
「悪ぃ…、抑え、効かねえかも」
「んん、あぅ……」
風呂上がりの石鹸の香りが邪魔に感じる。
もっと深く彼女の香りを確かめたかった。
首筋のあたりから微かに花の匂いがする。
ちりちりと脳が焼かれそうだ。

もう一度深く口づけ、服に手を忍ばせ、弱いところを探った。
歯列をなぞりながら胸の先端を指先で転がす。
アルコールとヤニのにおいがしたのか、少し顔をしかめるがそれすらも色っぽい。
「やぁ……!」
強めに押しつぶすと甲高い声がする。
細い腰に似合わない、膨らみの大きさが手から少し溢れるくらい。
「あ、あっ…繋心さん…恥ずかしい…っ!」 
顔を手で隠され、身を丸めるようにする。
初々しいリアクションにごくりと生唾を飲む。
手を引いて散らかったままの私室に連れ、布団の上に組み敷き直した。
髪が樹木の枝のように広がってきれいだと思った。
胸にまた手を這わせ、唇を這わせ、時折痕をつけながら、歯も立てる。
「きゃっ…!!」
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