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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第29章 姫君の憂鬱5(菅原孝支)


さんと会わなくなって何日か経ってしまった。
彼女は、学校にも来ていないらしい。
部活も早々に切り上げて、慌てて家を訪れる。
チャイムを鳴らそうと思った、けれど、急に彼女を傷付けてしまいそうで怖くなる。
この前の、あの衝動が忘れられない。
もし、無理やり何かしてしまったらと思うと、自分のことを一生呪いそうだ。
5分近く悩んで、やっと、決心がつく。

なんのためにここまで来たんだ?
さんが心配じゃないのか?
自問自答を繰り返しながら、ゆっくり、呼び出しボタンを押した。
「さん、俺…なんだけど…。
学校にも来てないって、聞いたから」
戸惑いながら返事を待つ。
録画機能が付いているやつだったら残るんだけど。
もしそうじゃなかったら、プリントをポストに入れて帰ろうと思った。
その時、玄関のドアがゆっくりと開いた。
「す、すがわらくん……」
「大丈夫……?」
毛布にくるまれたさんが、顔を赤くしながら出てきた。
「ごめ…ね、なんか、身体、調子悪くて…」
「え!?」
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