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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第26章 蜂蜜レモネード7(影山end)


もっと、二人がまともに出会えていればよかった。
そう思わずにはいられない。
「及川さん……お願いします。
逃げないで下さい」
果たして、それが自分にとって、正しい選択であるかはその時はわからない。
ただ、あまりにもツラそうなさんを見ているのは、自分がふられることよりしんどかった。
だから、迷わずに、そう口を挟んだ。
「……」
さんもそれに対して頷いた。
「また酷いことするかもしれない、いいの?」
「今度は、影山くんに守ってもらうから…」
「何それ、ムカつく」
及川さんはふっと笑いながら俺に向かって言った。
「もういい、それで」
そして両手を挙げて、参った、とでも言いたげな表情をした。
これでやっと、二人が和解したと、そして自分の役目の終わりも悟り、帰ろうとした。
帰ってから、改めて、この失恋を思いっきり悲しもうと、そう思った。
「影山くん…」
「…?」
「私のこと、まだ好き?」
「……は?はい…」
「解決したから、今日からよろしくね」
「……!
あ、さっきまでの、そういう意味で…!?」
「え!どういう意味だと思ってたの!?」
お互いにビックリと顔を見合わせる。
さんは、にっこりと微笑み、手を握って、
「影山くん、好き…」
と甘ったるい声で囁いた。
目眩がするその情景に、一気に涙が出た。
「え!?ご、ごめんね!?」
「うわ、トビオちゃん、だっさ!」
「す、すいません!!!
さん、及川さんと……そうなるかと……安心したら、一気に……っ!!」
二人にからかわれながら、夜遅い帰り道を、途中まで三人で歩いた。

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