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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第26章 蜂蜜レモネード7(影山end)


『取引』から解放されたさんは、静かに教室に佇んだ。
呆然とする彼女になんとか俺の制服を着せ、どうやって帰宅したのかは、あまり覚えていない。
ただ、さんが、あんなに怖がりながらも、及川さんに寄せていた様々な感情や信頼が、鋭いナイフのように自分をひたすらに切りつけるのを、実感するしかなかった。

自室に着いてから、
「さん」
と声を掛ける。
はっとしたような顔をすると、じっと見つめられ、緩やかに床に座り込んだ。
「……っ、かげやまくん……」
申し訳なさそうに呼ばれ、屈んで目線を合わせた。
「…さんは、悪くないです」
「ごめんね、どうしたら、いいか…」
早く解決したいと先を急いでいたはずなのに、及川さんはさんを置いていった。
願っていたはずなのに、あまりにもそれは残酷な別れ。
さんにとっては、たった一人の理解者であり、家族であり、そして依存先だった。
さんもまた、及川さんのカリスマ性に魅了されたうちの一人。
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