• テキストサイズ

【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第23章 蜂蜜レモネード6(影山vs及川)


「さん…どんな姿でも、俺は、好きです」
「っ!!」
気味の悪い傷を全て撫でるように、大きくて熱い掌が覆う。
「…っ!ううっ……!」
それでも、私は自分がいやだ。
醜くて、憎くて、嫌いで、この現実から逃げたくて仕方ない。
それでも、そう言ってくれるのが、救いで嬉しくて、少しだけ安心する。
そっと目に当てられた布を取られて、顔を合わせられる。
きっと、凄くひどい顔をしている。
目なんか腫れていて、恥ずかしくてぎゅっと隠すように瞑った。
「及川さん、さんを解放してください。
もう、いいっすよね……?」
「……ああ、もう、そんなヤツ、いらない」
一瞬、徹さんの声が震える。
かしゃん、と足元に音がした。
見ると、カッターが投げられたようだった。
「……」
縛られている紐をほどくと、漸く私は動くことが出来た。
じんじんと痺れるのをやっと感じる。
恐怖と、不安と、絶望とで、足に力が入らず、結局机からは動けない。
「待って…!」
と私のほうが遅かった、徹さんの靴の音が遠退いていく。
このまま離れたら、もう会えないかもしれない。
そういう不安が押し寄せる。
どんなにひどいことをされても、徹さんは、私にとってたった1人の家族だから。
唯一、私の全てを知っている、大切な……
/ 238ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp