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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第18章 蜂蜜レモネード2(影山飛雄)


さんは、俺の監視もしているらしい。
学年が近いと、クラスも近い。
ふらっと寄ってはこちらを見てくる。
この前の無様な行為がありありと思い出せて、死にたくなる。
誰に相談するでもなく、抱え込むしかない。
そんなこともお構い無く、さんは声を掛けてくる。
恐らく及川さんの命令だろう。

「影山くん、お昼終わったら、屋上来て」
「は?」
「待ってるから」

何はともあれ、弱みを握られているのはこちらだ。
泣く泣く行くしかない。
ため息が出るが、どこか、期待してしまう面もある。
そして恋の弱みというか、なんというか…。
呼びに来る姿もなんと可愛いかと、後ろ姿を見送りながら思った。


「…っ、は…」
悪い予感は的中した。
さんは、確かに一人でいた。
「影山くん、お願い…」
ちゅ、と口付けるかのように、その桃色の唇が俺のモノを咥える。
前回同様、奥に飲み込まれては上顎の凹凸に擦られ、たまに当たる奥歯がえげつなく気持ちいい。
「次の試合、徹さんに、ゆずって…」
「な……っ、なんで……」
さんは、今までもこんな取引をさせられているようだ。
他の学校にも行っていると、ぼんやりと部員に聞いた。
「お願い…!影山くんがひどい目に合うのは、避けたい…」
俺が入部してからも、何人か辞めている。
きっと、そういうことだろう。
それでも。
「いくら、先輩でも……っ、こんな、卑怯なやり方…っ!」
あと少し、というところで、さんは、唇を離す。
涎でてらてらと光っているのはわかっているが、潤んだ口が色っぽくて、果て切れなかったソコがじんと疼く。
「私、後輩がこれ以上、辞めちゃうの、嫌なの……お願い…っ!」
「俺は辞めません、絶対」
「徹さんのことよく知らないから…そんなこと…言えるんだよ……」
「さん…」
午後の余鈴が鳴る。
さんは、はっとして、涙目で見上げてくる。
「お願いね?」
そしてそのまま、スカートを翻しながら教室に戻っていった。
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