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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第17章 常闇の彼方に堕ちていく(黒尾鉄郎)


遡ること数時間前。
今日はめいいっぱいのお洒落をして、メイクさんを目指している友達に化粧して貰った。
「すっごーい!別人みたい!」
「は化粧映えするから、弄り甲斐あるね!」
髪型も緩くふわっと巻いてくれて、いつもより可愛い私になれた気がした。
「デート頑張ってね」
と笑顔で見送ってくれた彼女に、今度クレープでもご馳走しようと思った。

待ち合わせ場所に行くと、先輩はもう待っていた。
相変わらずカッコよくて、人混みの中でもすぐにわかる。
「先輩、すみません、お待たせしちゃいました?」
「いや、今来たとこ」
(何これ!めっちゃデートっぽい!)
先輩は、はぐれないように、と笑いながら自分の腕に捕まるよう促してくれる。
そういう時以外に触れるのは、ほとんど初めてで、内心ドキドキしてしまう。
カップルと思われてますように!と謎の祈りを反芻して、少し足早に目的地に向かった。
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