第16章 蜂蜜レモネード(影山飛雄)
カースト制、なんていうのは少し間違ってるかもしれないが、俺の中学時代の部活は秩序と共に裏の顔もあった。
それは、さんの存在だ。
さんは、及川さんより1つ下の血の繋がっていない妹で、何人の男を落としてきたのかわからない程、綺麗な顔立ちをしていた。
小柄で華奢な印象の身体、真っ白な肌と赤い唇が、尚更引き立たせる。
きっと誰もが振り返るであろう、そんな人だ。
及川さんも自慢なのか、わざわざバレー部のマネージャーにして、常に隣に置いておきたかったのだろう。
ただ、さんの仕事はそれだけではなかった。
俺はそれをたまたま知ってしまったんだが、裏の顔というのが、彼女を使ってのやり取りだった。
物のように扱われ、喘ぐ彼女は一度見たら忘れられない。
歪んでも尚美しい顔、掠れた甘い声、求めるような指先は、たった数秒しか見れなかったのに未だに鮮明に思い出せる。