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生い立ちの歌《文スト》

第6章 『骨』





「五月蝿い...」

「あ?何も言って無ェだろ」

「君じゃない。太宰」



連絡先を教えたは良いが、太宰から送られて来るのは情報ではなくどうでも良い事ばかりであった。
其れはつまり進展が無い事を意味している。
安吾ですら掴めないのであれば、お手上げ状態だ。
そんな時、中也の仕事用の携帯が着信を告げた。
電話の主を確認すると、中也は少し緊張した面持ちで電話に応答した。



「はい」

「やあ中也。彼女も一緒かい?」

「泰子ですか?一緒ですが...」

「其れは良かった。では今直ぐ探偵社を壊滅させて来てくれるかい?」

「それはどういう...」

「政府が此方の動きに気付いた。そして護衛を探偵社へ依頼した」

「なっ...し、然し幹部を二人も送り込む程ですか?」

「異能力者、という事ですか」



中也の携帯を取り上げて泰子が鷗外へ問うた。
しかし質問と言うよりは確信を持ったその言葉に、鷗外は一言、うんとだけ告げた。



「解りました。直ぐに向かいます」

「能力については未確認だ。気を付けてね」

「了解です」



通話を終えると泰子は携帯を中也へと放り、外套を羽織ると執務室を出た。
中也も直ぐに後を追い、二人は探偵社へと向かった。



「チッ、蛻の殻かよ」



二人が探偵社へ到着するも、事務所は無人だった。
泰子は残されていたパソコンを起動させると、持参していたUSBを差し込み、物凄い速度で操作していく。



「行くよ、中也」

「居場所が解ったのか?」

「当然」



探偵社の次に二人が向かったのは、人気の無い山奥で、そこには廃墟が一軒建っていた。
泰子は躊躇する事無く足を踏み入れるが、入口へ入った途端彼女目掛けて鉄線銃が放たれる。



「随分熱烈な歓迎ね」


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