• テキストサイズ

華の剣士 2 四獣篇

第7章 錯綜


「…それは。1つ目を除いて、すべてあくまでも推測だろう?」


と思われるや、かもしれないなど、あくまでも息子の見解だ。


「…ですが」


ヨンホはそれでも食い下がる。



「確かに、考えうることだし、この国に関わる大きなこともある。何せ、我々の国を狙う者たちは少なくないからな。」


豊富な鉱山資源は、誰でも喉から手が出るほどほしいものである。実際、滓には何度も攻めいられた歴史がある。


少しヨンホの顔が晴れやかな表情になる。王の考えを察したのだろう。


「とりあえず今は情報が必要だ。諜報するものをあと何名か派遣しよう。」


「…!父上!ありがとうございます。」


いつもあまり表情を出さないヨンホが、喜色を浮かべており、王は新鮮にみえた。


「指揮はお前に任せるとする。頼んだぞ。」



「はい!」


王はヨンホに背を向け、城の中へと戻っていく。


(…。燐は獣を操る特殊な力を持っている…。どこの国よりも特殊な国だ。この国に何かが起こると、否応なしに周辺諸国も巻き込まれるだろう…。それは私もわかっていることだ。しかし、今回の反逆、何やらおかしな点が多い。)


王は城を仰ぎ見る。城の天文台の縁に並んでいたカラスたちが、いっせいに飛び立った。


(…気味が悪いな。)


王は頭のなかで考えたことを振り払いながら、城内に戻ったのだった。





/ 210ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp