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華の剣士 2 四獣篇

第12章 足枷


(そういや結局この男たちとついていくことになっている…。これでいいのか…?)


ソリャは疑問も持たずにしばらく男の隣に座っていたが、そう思い出して思わず立ち上がりかけた


(あの町にはいられなくはなったけど、別にこいつらと行動しなきゃなんねぇ訳じゃねぇ。でも何でさっき、この男を無意識に助けたりしたんだ?それに、何でこいつらは俺を仲間にしたいんだ…?)


浮かせた腰をもう一度下ろし、ソリャはこの男と仲間の素性について考える。今までできるだけ人に無関心でいようとしていた反動からか、一度関わってしまうと気になることが多々あった。


悶々とソリャが一人で悩んでいる間、男は何も声をかけなかった。不躾にいろいろと尋ねられるよりも、その方がソリャにとってありがたかった。


そうしていると男の仲間がやって来た。そうしてソリャとは仲間だ、といろいろと説明を受ける。しかし、ソリャにはあまり実感がわかなかった。ただ、男たちのことを少し知ったことで、さらに知りたいことが増えた。


(鱗や赤い瞳…。この二人だって人とは違う外見をしている。でもなぜこんなに生き生きと、堂々としてんだ…?)


知りたい、そう強く願うのはいつぶりだろう。何かに興味を持つのは久びさで、胸が高鳴るというのはこういうことかと思い出した。


(俺はこの町に残ることも、今までのような生き方が限界なことも、とっくの前に知ってた。けど、それを見ないふりをして、耐えてきた。でもこれ以上、自分の外見で人にとやかく言われて、振り回されるなんてこりごりだ…。変わりたい…。知りたい…。)


ソリャは痛いほど手を握りしめた。

このときソリャは自身で見えない足枷を解いたのだ。町の人々、そして自身で作り出した見えない足枷は重く固く、容易には解けない。ソリャはこれ以上人に憎まれることが苦痛で、もうどうしようもないと責めることで、その足枷をより強靭なものへと変えていった。しかし、その足枷は己の心の持ち方しだいで、呆気なく壊れるものだったのだ。


(何でこんなことを恐れてきたんだろう。何て俺はちっぽけだったんだ…)


ソリャは山から見下ろす自分の故郷を見て、泣き出しそうになった。


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