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雪解けの春《アイナナ》

第16章 Episode 15





「ねぇねぇ!聞いた!?Sakuraがドラマ出演だって!」

「聞いた聞いた!主題歌もSakuraが歌うんでしょ?」

「今から楽しみだよね!どんな人なんだろう。放送が待ち遠しい!」



ドラマ出演者の顔合わせのため、私が車に乗り込もうとするとそんな声が聞こえてくる。
楽しみにしてくれている人のため、しっかりやろう。



「気負いすぎるなよ」

「うん。でも大丈夫」



ハンドルを握りながらお兄ちゃんが言う。
シートベルトを締めると、車は発進しスタジオへと向かった。
指定された会議室へと向かうと、そこには既に何人かのキャストが集まっていた。
私は挨拶をしながら自分の名前が書かれた紙の貼ってある席に着く。
当然だが、周りはテレビで見たことある女優さんや俳優さんだらけですごく緊張する。



「なにそわそわしてるの」

「お、おはよう」



隣りの席にユキが座る。
そう、このドラマにはユキも出演する。
出演者の一覧をもらった際には私も驚いた。しかし初めてのドラマに知り合いがいるのは、とても心強い。
それにユキは何度も主役を経験しているし、演技についてもアドバイスを貰えるだろう。



「皆さん揃ったようなので、顔合わせを始めます」



監督さんの一言に、キャストやスタッフが一斉に監督に注目する。
そして、私が挨拶をする順番が回ってきた。



「主演のSakuraさん、お願いします」

「はい。Sakuraです。ドラマ出演は初めてなので皆さんにご指導を仰ぐことも多いかと思いますが、よろしくお願いします」



一礼すると周りから「よろしくお願いします」と言う言葉と共に拍手が聞こえた。



「次に、相手役の千さん。お願いします」

「千です。普段とは違った役柄で演技するのが楽しみです。よろしくお願いします」



今回のドラマで主演である私の相手役がユキなのだ。
私は警察部隊に所属するエリート警官、ユキは犯罪組織に所属する過激なテロリスト。
そんな相容れない立場の2人が恋に落ちる、というアクション有りの恋愛ものがこのドラマだった。


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