第8章 Episode 7
「あ、TRIGGER。移動中にマイク向けられてる」
「本当だ。一織、ボリュームあげて」
事務所でテレビを見ていると、大和がテレビにTRIGGERが出ていることに気付く。
陸に頼まれた一織がボリュームを上げると、記者に囲まれているメンバーを守るように、TRIGGERのマネージャーが立ちはだかっていた。
「TRIGGERのマネージャーはいつ見ても迫力あるよね」
「うちのマネージャーは頼りがいはあるけど、迫力はないからな」
私の言葉に大和が笑う。
たしかに紡ちゃんは小柄だし、迫力というよりも癒しオーラがある。
視線をテレビに戻すと、記者からの質問に天が答えるところだった。
「ゼロのことは大好きです。憧れていますし、心から尊敬しています。ですが、今の時代のアイドルが3グループも集まって、彼を超えることが出来ないとは思えません」
にこやかな笑顔で、天は挑発的な発言をした。
世間はよく思わないかもしれないが、私は素直にかっこいいと思えた。
隣ではメンバーもそれぞれの意見を口にしている。
「予定より早いですが、僕らの新曲を」
このタイミングで?
天の発言にIDOLiSH7のメンバーも私も驚きを隠せない。
TRIGGERは絶好の機会だとでもいうように、新曲を歌い上げた。
「かっ、こいいな...お前の兄貴...」
「うん、天にぃ...超格好いい...!」
「ワタシたちも後に続きましょう!周りの声に振り回されて失敗を怖がっていたら、前に進めません!」
TRIGGERの逆風にも負けない毅然とした姿に、IDOLiSH7のメンバーも触発され、気合を入れ直したようだった。