第8章 声を聴かせて〜NJ〜 3
「謝らないで?俺は、そうやって潤くんの側にいた時間も、全部がね、幸せな記憶なんだし」
「……ありがとう…」
こんなどうしようもない俺を好きになってくれて。
好きでい続けてくれていて。
「大好きだよ」
俺の言葉に笑顔になったニノに、感謝と想いを込めて、キスを贈った。
どうすれば、伝わるだろう?
俺は、この想いを伝えられてる?
「どうしよう、潤くん」
「ん?」
「勃っちゃった」
小首を傾げて可愛らしく笑ったニノは、その言葉が嘘じゃないって示す様に、それを俺の腰に擦り付けてきた。
「潤くんが悪いんだよ。格好良くて、可愛くて、でもって、大好きとか言っちゃって」
「もぉ…カズ、若いね」
「じゃあ、潤くんは俺より若いから、まだ大丈夫でしょう?」
可愛く笑ったと思ったら、いきなり
俺を喰いたい
っていう雄の目になって俺の唇を塞いで、散々中を喰い尽くしたあと、離されたその唇が耳元へと寄せられて…
「ねぇ……もう一回、一緒に…イこ?」
そんな風に、熱い息を吹き込まれたら…ねぇ。
ちゃんと俺の想いが、伝わったから、だよね?
だから…俺に感じてくれてる事すら、嬉しい。
いいよ…きて?
たくさん、抱き締めてあげるから。
最初は、寂しさからくる、体だけだったはずなのに…ね…。
いつの間にか、こんなに好きになっていた。
ニノに求められる度に体の奥から熱くなって、ドロドロに溶けた体と思考が再び再構築されて、更にニノを好きになっている。
誰かに求められる事が、これ程幸せな事だとは、知らなかった。
誰かと想い合える事が、これ程幸せな事だとは、知らなかった。
「潤くん…あいしてるよ…」
熱く注がれるニノの想いに、俺も笑いながら高みへと一緒に駆け上がる。
愛してる…
愛してる…
愛してる…
それはもう…
ニノの言葉か、自分の言葉かも、分からない。
この空間には、もうその想いしか、ないから。
聞こえるのは…その言葉だけ。
これからもきっと、特別なのは…互いの言葉だけ。
だから…ね…これからも、ずっとずっと…
その声を聴かせて
end