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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第15章 遠い思い出に


牛島くんとの沢山の思い出、たった1年なのに、ずっと一緒にいるみたいで楽しかったです。
春のにおいも、学校の廊下で会ったときも、いつも優しくしてくれて、時々厳しく怒ってくれたり。
おうちまでいつも私の歩幅に合わせてくれたり。
実はこっそり部活を見に行ったことがありました。
牛島くんはいつもかっこよくて、自分に厳しくて、そんなところも大好きです。

夏の暑さと雨。
おうちが水浸しになったの、覚えてますか?
あの日、おうちに誘ってくれてありがとうございました。
内心戸惑ってたので、嬉しかったです。
それから、病院から抜け出して星を見に行ったね。
あの日のこと、ずっと思い出してる。
昨日のことのように思い出せる。
牛島くんのからだがずっとくっついてて、とてもドキドキした。
すごく嬉しくて、多分一生で一番幸せだった時。
帰り道、迷ってちょっと焦ったね。
そんなところも、楽しかった。
花火も一緒に見たね。
来年も一緒に見ようって約束したのに、守れなくてごめんなさい。

文化祭も合間で一緒にいてくれてありがとう。
あんなに楽しかった文化祭は初めてでした。
バレー部のみんなも、頼もしくて面白い人ばかりで、いつも気に掛けてくれていて。
後夜祭、一緒に泣いちゃったね。
キャンプファイアの灯りも、パチパチと燃える木が弾ける音も、もらったお菓子の味も、本当によく覚えてるの。
もう何日も何も食べてないのに。
不思議なくらいに。

人間は、嗅覚の記憶力が一番高いって、聞いたことあるけど、本当なんだろうなって。
牛島くんとのどの記憶にも、隣の牛島くんのにおいがのこってる。
それは、すごく、ありがたいことで、すごく幸せなことです。

冬がきて入院して、あまり会えなくて。
寂しいけど、牛島くんは進まなきゃいけないから仕方ないって、本当に何回も自分に言い聞かせました。
だから、あんな風に距離を空けてしまいました。
本当にごめんなさい。
牛島くんが来ない間、凄く寂しかった。
悔しかった。
私は私の言葉で『さようなら』と言えないことを、とても後悔しています。
好きです、も言えなかったね。
ごめんなさい。
もし、まだ好きでいてくれるのなら、この文字にした言葉は信じてほしい。

牛島くんのこと、本当に好きです。
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