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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第3章 ガラス細工


部活もない水曜日の夕暮れだった。
が教室内にいないと気付いたのは帰る頃。
ホームルームでは見かけたはずだった。
校舎内のめぼしい所は当たったが全滅だった。
もしどこかで倒れていたら…。
自分らしくもない焦りが出てくる。
保健室に立ち寄った形跡もない。
図書室、他の教室、ほとんど見て回った。
ぞろぞろと帰宅していこうとする生徒で1階が混んでくる。
流れる生徒を眺めたが、あの身体では、この人混みは耐えられないだろう。
校舎から出て、体育館へ向かう渡り廊下、やっと人の話し声が聞こえる。
「噂のちゃんなんだけど、この子」
「変な時期に編入してきたよな」
「ここの編入試験、結構難しいって聞いたけど」
「……っ!!」
「可愛いな」
「ちゃーん?いいことしよ?」
「怯えちゃってるよ?」
「悪いことしないよー?」
自分より一回りも大きい男に囲まれ、が今にも泣きそうな顔で立っている。
1人が制服に手をかけたところで、
「やめろ!」
自分でも驚くくらいの大きな声で威嚇してしまう。
「やっば…!逃げろ!」
足音を立てて逃げ出していく輩を睨み付け、今にも壊れそうな彼女にゆっくり近寄る。
「…」
「ご!ごめんなさい…!!!」
相当怖かったのか、小刻みに震えていた。
触れようとすれば、拒否をされそうで出来なかった。
膝から崩れ落ちるように倒れると、そのまま、嗚咽しながら泣いている。
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