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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第12章 灯火に陽炎


和太鼓と笛の音が流れる。
どこの音源かはわからないが、ドアが閉まる音や何かが潰れる音などが響く。
コンセプト自体は和風なのであれば、音も統一してもらいたい。
「牛島くん!?」
と共に入ると説明すると、クラスメイト達が目を丸くして驚いていた。
「暗いからさん気を付けてね!」
「あ、う、うん!」
案内の指示に従い、黒いカーテンが開かれ、中へと歩を進めた。
真っ暗でほぼ見えないが、目が慣れてくると、ダンボールかベニヤ板に描かれた墓や狭い路地裏が伺える。
「なかなかよく出来てるな」
「あ、あの小物、私が作ったのだ…!」
は嬉しそうに指差した。
どれだ、と彼女の目線になろうと少し屈み、細い指の先を見ようと目を凝らした。
「ほら、あの小さなお化け…!」
「ああ」
少し誇らしげな顔が暗がりでもわかる。
絡む指に固い感触。
揃いの指輪が当たる。
「ね?すごい……っ」
振り返り、こちらの顔を伺おうとするのを先回りして、唇に己のそれを重ねる。
「っ!?」
「可愛い」
「…!!」
驚いたの顔も、仕草も、暗がりでもすぐにわかる。
が何かを言いたそうに口を開けた瞬間。

「わあああ!!!」
「きゃー!!?」
「ゴメンねー!みーちゃったー!」
天童だった。
「後ろ、つまってるから早く行った方がイイよー!」
いつものよくわからないポーズを決めながら言うと、奴は去っていった。
恥ずかしさと恐怖で固まっているを引き摺り、なんとか出口に向かった。
他に何を作ったか、残念ながら把握できなかったので、片付けはこっちに参加しようと、そう思った。
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