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真昼の月【龍が如く×真島吾朗】

第1章 真島という男




次第に2人の間には不穏な空気が流れ始め、ベッドルームがシーンと静まり返る。

「あ、せや…。何であんな時間に通り歩いてたん?店に行ったらもう帰った言うから、会えへんと思うてたわ」

この重苦しい空気に耐え兼ねた真島が口を開く。

その言葉を聞いた雅美は驚いて真島を見上げた。

「お店に?」

「せや。注射を打ったら途端にラクになってな。この調子やったら何とか顔出せるかなと思うたんや。何か……あったか?」

その驚く顔に真島も同様に驚いた。

逆に聞き返された雅美はいえ…、とにやけて口を濁す。

その真意が真島には掴めなかったが、嫌な顔をされなかったのが救いだと感じた。

「真島さんって……不思議な人ですね」

「んぁ?俺が?」

「子供みたいな一面があったり、大人びたところがあったり。掴みどころが無いです」

「不思議ねぇ。あまり言われた事無いわ~。桐生ちゃんには馬鹿正直やっていーっつも言われるけど」

「桐生さんも大変ですよね、真島さんがお知り合いだと」

「雅美ちゃん、それはどういう意味やねん」

「そのままですよ」

冗談混じりの会話と笑顔が漸く2人を包み込む。

不穏だった空気が一気に柔らかい雰囲気に変わり、
真島自身も気持ち的に余裕が出来た。

「でも雅美ちゃんがあない場所にいるなんてほんまに驚いたわ。危うくアホな連中に連れてかれる所やったし。夜の裏路地は危ないから、独りでは絶対に歩いたらあかんで?」

真島が真剣な表情で話すと、わかりましたと素直に頷く。

あ、でもと何か閃いたように雅美は自分の言葉を付け加えた。

「また危なくなったら、真島さんに助けてもらいます」

屈託の無い満面の笑みで言った雅美の笑顔に、真島の頬がポッと赤くなる。

それと同時に雅美に対する熱い思いが更に強くなった。

「せやな、雅美ちゃんが困った時は俺が必ず助けたる。そんときは俺の事呼んでや、神室町の上空をマッハで飛んで行くでぇ」

真島の冗談混じりの言葉を笑いながら聞く雅美。

でも真島の心の根底にはそれぐらい強い気持ちがあった。

自分を必要としてくれるなら、出来る限りの事をしてあげたい。

むしろ自分以外の人間に助けを求めるなんて絶対に認めないと思える程に。

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