第1章 クリスマス(鰤市)
「なっなんつぅ格好してんだ!」
クリスマス・プレゼントは。
「何って一護、今日はクリスマス・イヴなんだよ?」
「んなこと知ってる!!」
「じゃあなんでそんなこと聞くのさ」
「クリスマスだからってなんでおまっ・・・お前」
「ミニスカサンタなんだぁああ!!」
似合うでしょ?えへv
可愛くポーズつきでそのミニスカサンタ・・・琢磨がそう言うと、一護は大きく脱力した。
「(似合ってるから始末におけねぇっ!)」
内心悶えまくる黒崎一護とミニスカサンタで無意識に一護を誘惑する林 琢磨は幼馴染だった。いつもいつでもどこに行くのも一緒。
一護がいるところには琢磨がいて、琢磨がいるところには一護がいる。
そしてその関係はいつしか変化していき、何を間違ったか今では両家公認の恋人同士である。
「ちなみにこれ、一心さんからのプレゼントv」
「出て来いクソ親父ぃいい!!」
父親を殴りに部屋を飛び出そうとする一護を羽交い絞めにしながら、琢磨は今日の予定をツラツラとしゃべり始める。
「午前中は一緒に買い物に行って、午後から皆誘ってクリスマスパーティ、夜は浦原商店にお呼ばれ~」
その言葉に、それまで暴れていた一護が反応した。
「浦原さんが?」
「うん」
「お前いつ連絡してたんだ?」
「ちょっと前に浦原印の通信機もらったんだ。トランシーバーみたいなやつ!」
(浦原さん・・・しかも夜ってなんだ!!邪魔したいだけじゃねぇか!)
イライラする一護を放置したまま、琢磨がぽむと拳を手に当てる。
「織姫とさつきは女の子たちで集まるらしいからプレゼントだけ渡すんだ!チャドは来るって!」
楽しみだねぇ、なんてほえほえ笑ってる琢磨に、一護はため息を一つ。
(・・・ま、こいつが楽しそうなら我慢するか。)
クリスマスは家族と琢磨だけで、その後は二人で~なんてちょっと不埒なことを考えていた一護だったが、琢磨が仲間を大切に思っていることを知っているから。そして何よりも自分を大切に思ってくれていることを知っているから、恋人たちのイベント、クリスマスに邪魔な奴らの介入を許そうと思った。
(だが、二人っきりになったら覚悟しやがれ)