第9章 天城 燐音 / 馬鹿 ★
「…ごめん、兄さんが原因…だよね…」
「……。一彩くんが謝る事じゃないよ…」
「でも…弟として、これだけは言っておきたいんだ。兄さんは、聖子さんの事を本当に大切に想っていたハズだよ。だから、聖子さんを僕たちの一族に関わらせたく無かったんだ。聖子さんには、幸せになって欲しかったんだよ…」
「………そうだとしたら、やっぱり馬鹿は燐音さんの方だよ…」
「え?」
燐音さんがいない世界で
私が幸せになんてなれるハズがないのに。
そんな事も分からないなんて。
「あの大馬鹿者」
その言葉は溢れた涙と共に消えて無くなった。
fin.