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君を奪うのは…【R18】

第7章 彼女の世界


「おか…せ…さま…」


「妻は…だ…」


「奥様…ころ…に」



廊下で誰かが話している声が聞こえた



「っ…!」


いつの間にか寝ていた紗耶はふと目を覚まし時計を確認する


時計の針は6時を回っていた



ガチャ――――



「ただいま」


部屋の扉を開けたのは会社から帰ってきた黒崎だった


「お、おかえりなさい…」


「使用人から聞いたよ。親子そろって寝ていたそうだね」


「ごめんなさい…食事の用意を…」


「いいよ。使用人に頼んでおいたから」


「ごめんなさい…私、」


「たまにはいいじゃないか。是非とも写真を撮りたかったよ」


微笑みながら話す黒崎


「こうして寝ている顔を見るとあなたに似てる」


「そうかい?」


「えぇ。笑った顔も似てるの、やっぱり親子ね」


「でもこの間、大翔におもちゃを渡した時、僕にお辞儀をしたんだ」


「え?…」


「こんなに小さいのによーく分かっているよ。それにこれが欲しいと指さすと、ちゃんと渡してくれるしね。そんな心優しいところは君に似たんだよ」


「んふふ、今日はまたハイハイして名前を呼んだら私のところに来たのよ」


「へぇー!ちゃんと分かってるんだね。次は僕と君のどちらに来るか勝負してみようか」


「ふふ、毎日一緒ですもの負けません」


「休日は僕と遊んでるからね、分からないよ?」



大翔を出産してからやっと夫婦らしい会話が増えたその日から、黒崎はよくホームビデオを撮るようになった



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