第3章 消せない記憶。
「これとこれを調合して。」
「はい、わかりました。、」
あのあと本当に信長様は
家康に用事があったようで。
しばらくわたしが外で待ったあと信長様はそのまま
天守に戻った。
ジョリジョリジョリ。。。。
薬草を潰しながら
静かな時間が流れる。
この時間は嫌いじゃない。
前の時もよく教えてもらってた。
あのときはみんなはもちろんだけど
政宗がやたら戦場でも戦場じゃないにしても
無茶して怪我するから
少しでも役にたちたくて。
家康は
『……ひなの心配、少しぐらいわかりゃいいのに。』
って政宗にイヤミいいながら
丁寧に教えてくれた。
たしかこの薬草は潰しすぎてもだめなんだよね。。。
そう思い、潰すのもそこそこに家康さんに渡す。
「はい。こんなものかな。」
「…………。」
「??どうしたの?家康。。さん?」
わたしが差し出した小鉢をじっとみつめて黙ってる
家康を不思議に思い聞く。
「……これくらいって言ってないけど」
「あっ、ごめんなさい、
もーちょっと細かくしなきゃですよね」
「違う、ちょうどいい。」
「あ。」
そういうとわたしの手から小鉢を受け取り
自分のもっていた薬草と混ぜ合わせる。
「軟膏とか怪我に効く薬だけ、俺に言われなくても
できてるね。」
!!!!!
こちらを見ずに家康がいう。
あっ、えっと。。。
危ない。ついつい癖で、、、
はじめてのフリしなきゃなのに。。
怪しまれたのかな。。。
「え?!いや、みなさんやっぱり怪我が多いし
なんとなく、、」
「……ふぅん。」
おどおどしながら家康をみる。
「まぁ、いいけど。、。。あと家康でいい。
敬語もいらない。」
「へ???」
改めて家康を見ると
視線をはずしたままもう何も聞いてくれるなと
いわんばかりに
中断していた手を動かし出した。
「………わかった、家康。」
「……反応早っ。」
だって、前はそうよんでたんだもん。
それからまた黙々と薬を作っていった。
いつもよりちょっとだけ心があったかい気持ちで
いれた気がした。