第15章 再会
愛宮の騒動から数日後。
白波研究所には幸村を始めとするリッカイ学園バトル部のレギュラーの一部が訪れていた。
愛宮のポケモンだったミロカロスの様子を見るためだ。
ミロカロスは本来のトレーナーが引き取りに来るまでフェリシアが預かっている。
「にしてもフェリさんのミロカロス、ホント綺麗っすね」
フェリシアのミロカロス、基シャーロットを撫でながら感想を述べる赤也。元々人懐っこいシャーロットはあっという間に赤也に慣れたようで、赤也にじゃれついて遊んでいる。
「この子はヒンバスから育てたのかい?」
「えぇ。知り合いから貰ったタマゴから孵ったの。美しさに関してはかなり自信があるわね」
「ミロカロスの様子は?」
「健康状態は概ね良好だけど、ちょっと精神面が不安定ね」
「愛宮のせいか?」
「そうね。元のトレーナーから引き離されたこともそうだし、無理矢理進化させられてしまったことも関係してるかも」
件のミロカロスは、フェリシアの膝に頭を乗せてうたた寝をしているが、その顔はあまり穏やかとは言えなかった。
「この子のトレーナーは?」
「今日来るって。結構若い人っていうか、多分私達よりも年下だと思う」
その時だった。
「ごめんくださーい」
という声が聞こえてきたのは。
ややあって入ってきたのは、ヘアバンドをつけた小柄な少年と、オレンジ色の髪の少年。
「えっと、ヤマブキタウンの壇太一君ってどっち?」
「僕です」
小柄な方の少年が声をあげた。
「...ミロカロス、君のマスターが来たよ」
そっと膝の上のミロカロスに声をかけるフェリシア。
ミロカロスはうっすらと目を開き、その目に小柄な少年を写すな否や、
「ミ、ミィロォ~!」(た、太一~!)
「うわぁ!?」
小柄な少年に飛び付いて大泣きしだした。少年も最初こそ驚いたようだったが、すぐに気を取り直し、
「ごめんなさいです、ミロカロス...あの時、もっと僕が強かったら...」
ミロカロスを抱きしめ泣き出した。
その様子をそっと見守るフェリシア達。
「ありがとうございますです。ミロカロスを取り返してくれて」
一頻り泣いて、落ち着いたらしい少年はフェリシアを見上げ、頭を下げた。
「お礼なんて入らないわ」
「でも...」
少年の頭に手を置き、フェリシアは微笑んだ。