第3章 個別の時間
2学期、期末テストの自習勉強時間。
うっ……。数学の応用問題が難しいな。
この公式を使うんだけど…。
x=aになるはずなのに、ならないよ!
『桃色さん』
『理事長先生。』
学峯『この問3が分からないようだね。』
『はい。公式を使ってるのに答えが合わないんです。』
学峯『なるほど。解き方は合っているが、この計算が間違っている。』
『そっか!分かった!ありがとうございます。』
学峯『桃色さん、今日の放課後用事がなければ、個人的に数学の範囲を確認しよう。』
『はい!よろしくお願いします。』
私は放課後、理事長先生がやってくるのを待つ。
おそいなぁ〜。
ガラッ。
学峯『すまないね。急ぎの案件があって遅くなってしまった。では、このページからやっていこうか。』
私は、理事長先生が指定した問題を解く。
学峯『やはり、この証明問題が苦手だね。この問題のコツは…』
そう言いながら、椅子に座る私の背後に回り込み、後ろから抱きしめられる姿勢で私のノートにペンを走らせる。
き、緊張する…。
理事長先生の低く落ち着いた声が、私のすぐ耳元から…。
これじゃぁ、頭に入ってこないよ…。
学峯『分かったかい?』
『あっ…えっと、はぃ…。』
学峯『では、今日はここまでにしよう。気をつけて帰りなさい。』
私は荷物を鞄に詰めて、挨拶をすると、教室を出て行った。