第13章 デビュー会見と、そして・・・
当時を思い出して肩を竦めれば、四葉さんが断んねぇで仲良くすればいいじゃん、なんて不思議そうな顔を見せた。
『それもそうなんだけど、あからさまに万理目当てでって言うのがなんとなくモヤモヤして』
一「つまり、大神さんを誰かに取られたくないとか、そう思っていたのでは?その辺は今も昔も変わっていないようですが」
『違う!絶対!』
一織さんが微かに笑いを浮かべながら言った言葉に、別に万理を独り占めしたかった訳じゃないし!と頬を膨らませて抗議する。
『それに!今も変わってないとか、今だって別に万理を独り占めなんてしてないですから』
一「そうですか?じゃあ、折角ですからご本人にもコメントを頂きましょうか?」
『ご本人って?』
そう言って返せば、一織さんはその場でピタリと足を止め私を見る。
一「気付いてなかったんですね。私たちの少し後ろをずっと歩いてましたよ、大神さんは」
言いながら一織さんが私を通り越した視線を送り、それを辿るように私も後ろを振り返る。
『う、そ・・・万理、いつからいたの?!』
万「なんか3人で盛り上がってるから声掛けそびれちゃって。それで、俺は何にコメントしたらいいのかな?授業参観の事?それとも、独り占めがどうとかって辺り?」
えっと・・・ほとんど聞かれてた?!
環「バンちゃん、マリーの授業参観行ったことあんの?」
四葉さん、それいま掘り起こしたらダメなやつです・・・
そんな私の気持ちを他所に万理はあっけなく、あるよ?と答えてしまう。
万「俺がバイトから帰ったら愛聖のお母さんが玄関先で学校のプリント開いてため息をついててね。どうしたんだろう?って思って聞いてみたら、授業参観のプリントを俺に見せながら、本当はその日は休みだったけど熱を出した小さな子供がいる職場の人と休みを変わった後に知ったから行けないんだ・・・って。子供が具合い悪い時はお互い様だから仕方ないんだけどねって悲しそうにしてたから、俺で良ければ行きますよ?って。予定を見たらその日は俺バイトない日だったしね」
一「学校へ入るのに身内でもない大神さんが、どうやって?小学校なら、尚更・・・いろいろ手続きが必要だったのでは?」
私が通っていた小学校では不審者対策として、身内以外が立ち入るには手続きが必要だったんだよね。