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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第10章 不測の事態


❁❁❁ 天side ❁❁❁

「お疲れ様でした!今日はありがとうございました」

トーク番組の収録が終わり、スタッフに挨拶をして足早にスタジオを後にする。

この場に長居は無用だと、ボクの直感がそう言ってるから。

楽「おい天!お前なにをそんなに急いでるんだ?今日の仕事はこれで最後ってのを忘れてんのか?」

ちゃんと後から早足で着いてくる楽に呼び止められ、足を止め振り返る。

「言っておくけど、楽よりボクの方がスケジュール管理はちゃんとしてる。それに、収録が終わったならボクたちがいつまでも現場にいる方がスタッフだって困るでしょ···彼らが帰れないんだから」

龍「天はそこまで考えて行動するとか、やっぱり優しいよな」

楽「···優しいか?」

「優しいでしょ?」

あからさまに営業用の微笑みを見せて言えば、楽はいつもの様に、フンッ···と鼻を鳴らした。

ホントこういう所、社長とそっくり。

楽は絶対に認めないけどね。

「楽屋に戻るよ。こんな所でモタついてたら、」

そこまで言いかけて、廊下の向こうから人影が見えて来て手遅れだとため息を吐いた。

「ボクたちに用事でも?あなたの楽屋はこっちじゃないのよね?もしかして迷ってるとか?だったら、道順を教えてあげるけど」

お仕事用のスマイルを見せながら言えば、その人影は躊躇もなくボクたちに近付いて来る。

「私、TRIGGERの皆さんと一緒にお仕事出来たのが嬉しくて···もう少し、お話がしたいなって···思って」

「ボクたちと、話を?」

「はい···私、今度のお仕事で佐伯 愛聖 さんとRe:valeのおふたりとご一緒させて頂くんです。それで、初めてのCM撮影だから緊張しちゃって。TRIGGERのみなさんはたくさんのお仕事をされてるから、アドバイスとか頂けたらな···とか」

アドバイス?

彼女の口からそんな言葉を聞いて、思わず眉を寄せそうになる。

だって確か···

「ねぇ、その前にちゃんと自己紹介してくれるかな?」

「自己紹介、ですか?」

「そう。ボクたち今日初めて仕事で一緒になったけど、向かい合って話すなら必要な事なんじゃない?」

「そう、ですね。私は奏音っていいます。苗字はなくて、奏でる音と書いて‘ かのん ’と読みます」

「ボクが聞いてるのは、もうひとつの名前の方」


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