• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第5章 ヒカリの中へ


三月くんに作って貰った方が見栄えも出来栄えも、きっと俺より上手く作ってくれるとは思う。

けど、今回のは俺ひとりでどうしても作ってあげたかったから。

「愛聖、せっかくだから食べてみてよ?それとも、もうお腹いっぱいで入らないかな?」

環「腹一杯になってても、ケーキは別腹だろ?」

大「タマは食いすぎだろっての」

ケーキを見つめ続ける愛聖が、周りの話で笑顔を見せた。

『私も、別腹あるかも···いただきます』

微かに手を震えさせながら愛聖がケーキをひとくち、口に入れる。

『美味しい···ほんとに、母さんと同じで、』

ナ「Oh···マリー、ナゼ泣きますか?」

『ごめんなさい···ちょっと、凄く嬉しくて』

ナ「non···謝らなくてイイデスヨ?美しい女性は、涙も美し、」

三「いちいち口説くなっつーの!!」

ナ「Ouch!ミツキ、それ痛いデス」

三月くんがナギくんにデコピンをして間に入り、それがまた日常のやり取りである事に愛聖が笑い出した。

「喜ばせようと思ったんだけど、逆だったかな?」

スっと愛聖の目元を払って顔を覗けば、そんな事ないと小さく首を振った。

「母さんと同じ味のご飯だけでも泣きそうなの我慢してたのに、この懐かしのケーキで涙腺開放しちゃった···ありがとう、万理」

「おっと···アハハ···愛聖の甘えん坊は昔も今も変わらないな」

不意に抱き着かれて、ちょっと照れたのを隠すためにそんな事を言って頭を撫でてみる。

大「ちょっと和泉の奥さん、聞きました?昔からラブラブなんですわね~」

三「若いっていいわねぇ···ウフフ···じゃねぇよ!オレを巻き込むな!」

一「今の兄さん、可愛かったですよ?」

三「うるせぇ、可愛いとか言うな!」

これが彼らの日常で。

そこに俺も愛聖も増えて。

彼らののデビューはまだ先だけど、それでもみんな一生懸命で。

「俺も、今よりもっと頑張らないと···」

『なに?』

「なんでもないよ」

いまは、みんなよりひと足早く歩き出した愛聖を···支えてあげないとな。

そんな思いを込めて、その小さな肩をそっと抱き寄せた。



/ 1348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp