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【進撃の巨人】夫は人類最強の男

第7章  勝てない相手


 ある日のこと、新兵たちの間であるイベントが持ち上がった。
 訓練場でアルミンたちと自主訓練をしていたエレンに、ジャンがある勝負を持ちかけたのだ。

「はぁ?腕相撲?」

 突然提案された子どもじみた勝負に、エレンは呆れたように眉を下げた。

「お前なぁ、俺たちはもう立派な兵士なんだぞ。そんなガキみてぇなことして遊んでる場合じゃねぇだろ」

 やれやれとため息をつきながら頭を振るエレンに、ジャンが小馬鹿にしたように短く笑う。

「はっ!俺に負けるのが怖いからやりたくねぇんだろ」
「あぁ?!」

 ジャンの挑発にいとも簡単に乗ったエレンは、青筋を浮かべて食ってかかっていく。それを見てアルミンはため息をついた。

「も~、すぐ喧嘩するんだから」
「またやってる…」

 同じく傍らにいたミカサがボソリと言うのを聞いて、アルミンはチラリと視線を移した。
 ジャンがこうやって意味のない喧嘩を吹っかけてくる時は、大抵その原因はミカサだ。当の本人はまったく気づいていないだろうが、ジャンはミカサが好きなのだ。
 だから、ミカサが好意を寄せているエレンの事が気に食わない。

「止めてくる」

 ミカサが足を踏み出したのを見て、アルミンは慌ててそれを制止した。ここでミカサが出ていけば、さらにジャンの機嫌を逆なですることになってしまうだろう。

「ま、まぁ、いいじゃんミカサ。腕相撲勝負なら!」
「…そう?アルミンがそう言うのなら」
「うん、喧嘩するよりマシでしょ?…という事だから、エレン!ジャン!さっさとやっちゃって!」

 アルミンの言葉に、にらみ合っていた二人は「あぁ?!」とこれまた息をぴったりと合わせて返事(?)をしたのだった。

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