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*スーツを着た狼*【R18】

第10章 女の子の日





先輩は慌てる私の言葉も待たず、鎮痛剤を求め近所のドラッグストアへ向かった。
そして10分程で戻ってくる。


「これで良いか?」

「は、はい…」

「何がいいのか分からなかったから…店員に『生理痛に一番効くヤツくれ』って言った」

「……、」

買ってきてくれた鎮痛剤を差し出しながらそう言う彼。
一体どんな顔で店員さんにそんな台詞を言ったんだろう…


「あの…ありがとうございます」

「…ったく……もっと俺の事頼れよな」

「……、」

くしゃりと頭を撫でられる。
まだ薬も飲んでいないのに、その優しさに腹痛が和らいだ気さえした。





「…横にならなくて平気か?」

「はい…薬が効いてきたみたいなので」

服用してから30分程で徐々に痛みも感じなくなってきた。
先輩の脚の間に座り、2人で他愛ない話をする。


「今日はすみませんでした…せっかく出掛ける約束してたのに…」

「そんな事気にすんな…出掛けんのなんていつでも出来るだろ」

「それはそうですけど…」

「俺は別にお前といられるだけでいいから…」

「……、」

ストレートにそう言われ、トクンと胸が熱くなる。
やっぱり先輩は優しい…
こんな事なら、最初から彼に本当の事を話せば良かった。


「つーかお前…いつもそんなツラい思いしてんのか?」

「いえ…こんなに痛くなる事はめったに無いんですけど……」

最近は寝不足だったり仕事でバタバタしていたりで、体内のリズムが狂ってしまったのかもしれない。
もう少し自己管理にも気を遣わなければ…

そんな事を考えていると、先輩が後ろから私のお腹を撫でてくる。


「…女は大変だな」

「まぁ…こればっかりは仕方ないですよ」

「今度から体調悪くなった時はすぐ俺に言えよ?遠慮とかしなくていいから」

「はい…ありがとうございます」

その言葉も彼の体もとても温かい。
ついうとうとしてしまう程に…


「…眠かったらこのまま寝ていいぞ」

「でも…」

せっかく来てもらったのに私だけ眠ってしまうなんて何だか申し訳ない。


「今遠慮するなって言ったばっかだろ?…ほら、大人しく寝ろ」

「わっ…」

彼の大きな手に目元を覆われる。
私は言われた通り目を閉じ、彼の体温を感じながら本当に眠ってしまった…



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