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出演者達に休息を「番外編」

第1章 王馬くんがクッキーを作ってくれたそうです




『電源コード抜いたりすることのどこが私の手伝いになるのかな』
「え、だって逢坂ちゃん放っておくと何時間でもぶっ通しで作業してるからさ。適度な休憩は作業効率アップには欠かせないでしょ?」


私が研究に没頭し、会話が成り立たなくなってくると、彼は作業を妨害し始める。
しれっと自分が行なった妨害工作を正当化してみせる彼に、私はため息をついた。


『…やっぱりだめ。クッキーくれても入れてあげない』
「えーいいじゃん!逢坂ちゃんのケチ!いつでも遊びにおいでってこの前言ってくれたのは嘘だったの?」
『そんなこと言ってないから』
「言ったよ!いつも作業に夢中でオレと何話したか覚えてないんだから、嘘だって決めつけられないよね」


痛いところをついてくる。
教室にたどり着いたのをこれ幸い、『じゃあまた今度ね』と会話を強制的に終わらせる。
何か文句を背中にぶつけられた気がしたが、スルーした。

視界に天海の席が映る。
今日も不在の彼は、まだ旅から帰って来ていないようだ。


(…私も、授業休もうかな)


才能に起因する事項であれば、この学園は公欠として認められる。
天海がいない現状、このクラスに通い続ける意味もないように思えた。
文系科目は教科書の丸暗記で事足りるし、理系科目に至っては、時間の無駄と感じずにはいられないのだ。


(……王馬くんに見つかる前に研究棟に引きこもってしまおう)


そう考え、座席に置いたばかりの学生鞄をまた肩にかけた。
その足取りで職員室へ向かい、正規手続きを経て、早退した。

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