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幸せは君と【文スト】

第8章 犠牲精神


フランシスside



──「フィッツの元に戻るから、その代わりに横浜から手を引いて。探偵社にも、もう関わらないで」

菜生の云う取引は、完全に予想外のものだったが、結果としては自分にとって好都合なものになった。


──まさか、ナナセが自ら戻ると云い出すとはな。


裏を返せば、自分の元に戻ってまで探偵社を守りたいと思っているということだろうし、それに対して何も思わないと云うと嘘になるが、フランシスにとっては充分すぎる結果だ。


ナナセとストレイドッグを天秤に掛けたとき、より欲しいものは考えるまでもなく、ナナセの方だ。

ストレイドッグを手に入れる事ができないのは痛いが、他に代わりを探せば良い。
ナナセだけは、代わりが利かないのだ。

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