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目に見えぬもの

第9章 崩壊



私が停滞を決めてから、辺りは淀み、水が干上がり、山の木々も次々と死んだ。

なのに、人間はまだ生きている。
生きて、まだ争っている。

くすぐり始めた者たちも、いつか諦めたのか、天を仰いで祈るようになった。


柏手を打つ者。

十字を切る者。

ダラダラと祝詞を垂れ流す者。

跪きながら祈る者。



ふと、どこかから泣き声が聞こえた。

母親だろうか?
慌てて腕の中で泣く幼子の口を塞ぐ。

イヤイヤと首を振っていたけれど、そのうちに大人しくなり、動かなくなった。









そして、争いも止まった。


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