第4章 〜片翼の折れた天使〜
死神(こんな深い地下室に一体なにが…。)
薄暗い地下室を歩きながら、警戒しつつ王をおう。
王『さぁ、俺に不死の力を…!早くしろっ!』
ドスッ………。
暗闇の中で何かを蹴り飛ばしている。
暗闇に目が慣れてきた死神の目に飛び込んだのは、信じ難い光景であった。
両手を鎖で拘束され、王に蹴りを入れられた者は果たして人間なのだろうか?
容姿こそ自分と同じくらいの女性であるが、その背中からは、翼のようなものが生えており、片方はひどく折れている。
ひとまず考えるのを止め、死神は王の首めがけ、ナイフを投げる。
王は、すぐさまその場に倒れ込んだ。
死神『鎖を外す…。』
そう言って、両手首の鎖を優しく外した。
死神『歩けるか?』
その問いに彼女は答えず、ただじっと下を向いている。
その時、倒れたはずの王が彼女めがけて剣を振りおろした。
何故だか分からない。気がついた時には体が勝手に動いていた。
滴り落ちる血が、薄暗い地下室に垂れていく。
それと同時に、王は、胸元に刺さったナイフを抑え、絶命した。
死神『クッ……私としたことが。』
その時、ふわりと頬に何かが触れ、次に唇に柔らかい感触が舞い降りた。
死神『………………!』
一瞬の出来事に驚き、距離をとる死神。
だが、次の瞬間、腕の痛みが消えていることに気がつく。
死神『これは……。』
彼女を見やると、力なくその場に倒れ込んでいた。