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私の妖精アカデミア【更新停止中】

第18章 水竜の娘の過去と始まり


その日は暁の誕生日だった。

栄えある蓬莱の子供として、この時ばかりは国中が盛大に彼女を祝った。

そして日が落ちた頃、暁とコブラは二人で城を抜け出し、和華の国一番高い山で紅葉を見に来ていた。

城の中で缶詰状態で気が滅入っていた暁をコブラが気遣い、彼女が好きな自然の中へと連れ出したのだ。

警護の者達も西洋の魔道士を充分信用しているらしく、二つ返事で了承してくれた。

…この選択が間違いだと知らずに。

『どれにしようかな…』

この時少女は綺麗な落ち葉を見つけるのに夢中だった。落ち葉を持ち帰り栞を作るつもりだ。

『コブラも手伝ってよ~…あれ?』
「どうした?」

無論、面倒な事が嫌いな彼は木にもたれかかって目を瞑っていた。そんな彼に暁が文句の一つや二つを掛けようとすると、何処からか焦げ臭い匂いが漂ってきた。

「フン…やっと来たか。待ちくたびれたぜ…」
『_なんで!?街が…お城が、燃えてる!!』

少女が見た山からの景色は、絶望的な光景だった。

赤々とした巨大な炎の波が、和華の国を包んでいたのだ。

『お母様、お父様、皆…!!』

少女は直ぐに山を降りようとした。いくら自分を蔑んでいた人々とはいえ、これから自分が納めていく国の民達なのだ。放ってはおけない。それに両親もいる。

しかしその小さな体を止める腕があった。

『コブラ!!早くお城に行かないと、お母様やお父様が、皆が…』
「もう死んでるよ」
『!!?』

彼の言葉に息を呑む。信じられない、という気持ちで彼を見る。嘘だ。なぜそんな事が分かる。

暁が固まっている間に、コブラは暁の腕を引っ張って街とは真逆の方向へ向かって行く。

所詮男と女。子供と青年という差もあり、強制的に連れていかれる。暁はコブラに抗いながら必死に彼に訴える。

『っまだ間に合うわ!警備の人達には、水系の魔法を使う人達がいるもの!彼らなら…』
「そいつらは先に殺しておいた。それに地下通路や避難経路には油を撒いてる。どの道逃げる事なんて出来ねえよ」
『!?…なんで、そんな事…』
「ここまで来たんだ。教えといてやるよ、俺の正体を…」


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