第6章 君の気持ち
「ねぇ優衣ちゃん、明日時間ある?」
立海との練習試合を終えたボクらは、先生の意向で明日の部活が休みになった。
一緒にバス停まで帰ろうと彼女の隣を手に入れたボクは、思い切って聞いてみた。
「うん、部活あると思ってたから何も入れてない」
もう、不器用だからなんて言ってられない。
...強敵が、2人もいるからね。
「じゃあ、明日一緒に、植物園に行かない?」
「え...植物園?うん、いいよ」
「え、いいの?」
「うん、私植物とか花とか緑観るの好きなんだ」
「へえ、そうなんだ。ボクも好きなんだ、特に、サボテン」
君の好きなものを、また一つ知れた。
偶然なことだけど、ボクの好きなものと一緒で、なんだか嬉しくなった。
「サボテン、可愛いよね。最初はトゲが痛いんじゃないかと思ってたんだけど、そうじゃないものも沢山あるし」
「そうなんだよ。それに、お世話も楽だしね」
「確か、1ヶ月とかそこらに1回の水やりでいいんだっけ?他のに比べたら楽よね。不二くんは、サボテン育ててるの?」
「うん、割と沢山育ててるよ」
「へえ、1回見てみたいなぁ」
ここで、『じゃあ家に見に来る?』って言えたら良かったんだろうけど、そんな恥ずかしいことボクには出来なかった。