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君と共にここに居る

第2章 日常から非日常へ


「うっわ…まじか…」

部活終わりの華楓が昇降口から出ようとした時は既にかなりの大雨が降っていた。折りたたみ傘も持っていなかった華楓は絶望していた。

「どうしよう…」

「…入る?」

困っていた華楓の前に傘を持って現れたのは竜紀だった。

「竜紀!?部活行ったんだ!」

「いつもサボってるみたいな言い方するなよ。ちゃんといつも行ってるっての」

「何言ってんの、いつも委員会があるとか言ってサボってる癖に」

「入れてやんねーぞ」

「あーあー!ごめんてば!入れてー!」

茶番のような会話をしながら華楓は竜紀の傘に入り学校をあとにした。





「いやーほんと助かったわー」

バスに乗って三つほどのバス停で降りた2人は家のある住宅街に入った。

「てかお前なんで梅雨の時期に傘もってねえんだよ?」

呆れた口調の竜紀。

「えー、だって晴れのち雨って言ってたし、どうせ降るの夜じゃん?みたいな」

「いや、降水確率90%の梅雨なんだから前もって降るとか考えないわけ?」

「折りたたみ傘昨日使っちゃって家に置いてきちゃったんだもん。まあ今日みたいにどうせ竜紀が入れてくれると思ったから」

「俺をなんだと思ってるんだよ!」

そういった竜紀はふざけ半分で華楓に蹴りを入れる。もちろん華楓はかわそうとする。いつもの2人の茶番であるのはお互いがよく分かっている。

「うおっと。あーもーあんたが蹴り入れるから傘の外でちゃったじゃんー」

「お前が自分から出たんだろ」

あははと2人で笑いながら歩いていると華楓の家の前に着いた。

「…ありがとね」

「いつものこと、だろ?」

「わかってんじゃん」

じゃあと家の前の門から扉まで少し濡れる屋根のないところをひょいと行き、それを確認した竜紀は帰ろうと歩き始めたところで

「あ、明日パンでも奢ってあげるよ」

ピースをして華楓は竜紀に言った。
なんだよそれと呆れながら苦笑した竜紀だったが

「俺が食べたいのは」

「クリームパンでしょ、知ってる」

「流石ー」

今度こそはと手を振った2人はお互いがまた異世界で会うことはこの時は知らなかった。
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